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カー・グラフィックのここが違う
2024/02/19
いつもキャッスルイン豊川のブログをご覧いただきまして、ありがとうございます。

以前、我が尊敬して止まざる 小林彰太郎 について書きましたが,今回は彼の創刊した

カー・グラフィックについて。この雑誌が他のエンスー向け車雑誌と大いに違うのはその文

章です。彼は毎号エッセイと呼んでも良い素敵な一文を掲載しました。その文体が雑誌全体を

単なる自動車誌から楽しい読み物に変えていたのです。

 彼が英国旅行をした際 ロンドンのバーバリーでトレンチコートを購入、長きに渡って着用

息子さんに引き継いだのですが、20年後その店で再びトレンチを購入。店員に「僕は以前買った

コートを20年着たんだよ」と言ったら「また20年持つと良いですね」と言うから「僕はもっと

長生きしたいんだよ」と言ってやった。とか、その時夫婦で喫煙具のダンヒルでパイプを物

色している時、奥さんがケースを見ていたら「ご婦人用はこちらにございます」と店員に声をか

けられたので「女性もパイプを吸うのか」と尋ねると「プライベートな場所では吸う方がいら

っしゃいます」との事。しかし我が国でも戦前には老女がキセルを吸う光景が見られたものだ。

もっとも日本の老女はどこでも堂々と吸っていたが。とか

 又 野上弥生子の「迷路」という小説で「蔦のからまる煉瓦塀にそうてパッカードが雨にぬ

れて街燈を反射させて停まっている」とか「海色のリンカーンにもたれて」とか(海色とはリ

ンカーンブルーの事だろう)実に戦前の高級アメリカ車の様子を端的に表現し得ている。女性

作家としては驚くべきだ。とか

 全く面白味のないそこらの自動車誌とは隔絶した、面白い読み物に昇華させているのです。

そしてその感覚が他の編集部員の文章に伝潘して全体を面白くしたのです。


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