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五行歌
2018/09/04
中島小春様から10年の間の日常を歌った歌集を頂いた
当館との出会いは 二戸出身の画家であり書籍の装丁なども手掛けられている兄上様がいらしたからで
105歳で亡くなったお母上様の葬儀のためにご宿泊を頂いた時である
10年の中にはまだお元気で二戸にお住まいだった頃のお母上様のこと さらに年老いて兄上様の所へ同居なさっていた頃のこと ご本人宅のお舅様の介護のこと お子様お孫様ご主人様ワンちゃん 趣味のガーデニングなど様々に触れている
言葉は絵の具 こころの色を そのままに 五行歌という 絵を描く
この歌集を目にし 一首でも心に残っていただけたら 幸せと述べている

あります あります小春様 
四枚続きの切符の間から おしゃべりが聞こえる もうすぐ始まる 女たちの にぎやかな旅の予感
もみじの色も 湯けむりにとけて ゆったりのーんびり わたしたち 温泉卵になりました
気の合った女仲間の旅の様子実にいい
また犬との歌では
言いわけをせず とことん 落ちこんで三十分 もう 明るく尾を振る犬に 切り替え上手を教えられる
汗だくの庭仕事のあとは ブシュッとご褒美 ん? 誰か見ている だいじょうぶ この犬(こ)は口が堅い
これが大好きだった
小春様も気を抜いていた時の様子がわかる

私の足が地面から 浮き上がらないように 神様はときどき 重い荷物を 背負わせてくださる
しっかり自分も見つめてる

百四歳の母と 今日の会話は かぼちゃと あずきは いとこ同士か? などと
いのちの始まりに 還るのだろうか うす掛けを纏う 老母(はは)の寝姿は 勾玉の形をして 
お母上様との会話にも耳の使い方をわきまえていて いい娘がいる が 百四歳にもなると人の命の巡る様をも歌っている 
この歌集を頂いてから  1年か2年後に小春様は風となって空へ舞い上がって逝った

最後の歌は
色のない月から見た 地球(ほし)は  水と光りをたたえて 信頼に輝いていた いとしい地球を 裏切ってはならない
まるでご自分が行くであろう未来の月(ほし) そこから見えている地球を歌にしている
きっとどこかの星に足を付け すっくと気高く立っているのだろう この地球(ほし)に居たときのように
  • 小春様から頂いた 匂いゼラニュウム陰にひっそり花をつけていた
    見落としていてごめんなさい
    でも小春様のことは忘れてはいませんよ